横山展望台から見下ろす英虞湾
2026.08.29 SAT - 09.01 TUE / ISE-SHIMA ROAD TRIP

伊勢・志摩を走った。
4日間、毎日勝ちを確定させた。

船橋から渥美半島へ走り、車ごと海を渡る。伊勢神宮、鳥羽水族館、パールロード、ヤマハ。寝坊も、酷暑も、体調不良も、予定変更も、全部込みで旅になった。

今回の行程

2026年8月29日から9月1日まで、3泊4日で伊勢・志摩を走った。出発地は船橋。酷暑と雨の可能性を考え、今回はバイクではなく車を選んだ。

主役だけは決める。細部は現地で決める。全部を消化することより、面白い場所へ時間を使い、体調が悪ければ止まり、満足したら次を削る。この方針が、最後まで旅を崩さなかった。

3泊4日伊勢2泊+掛川1泊
約1,000km級船橋から往復
伊勢湾往復車ごとフェリー
毎日1回勝ちを確定
8月29日船橋から浜松、渥美半島、伊良湖へ。フェリーで鳥羽へ渡り、伊勢泊。
8月30日外宮、内宮、赤福氷、鳥羽水族館、朝熊山。一升びんで松阪牛。
8月31日横山展望台、パールロード、鳥羽港。フェリーで戻り、掛川泊。
9月1日ヤマハ・コミュニケーションプラザ、中川屋のうなぎ。休みながら船橋へ帰宅。
面白い場所では延長する。満足したら、次を削る。それでも毎日、勝ちは確実に拾って帰る。

起きた。走った。海を越えた。

DAY01

最大の不安は、渋滞でも距離でもなかった。そもそも早朝に起きられるのか。最初の勝負は、布団の中にあった。

だが、起きた。まだ街の色が戻りきらない時間に車へ乗り込み、船橋を出た。第一関門は突破した。

出発時の薄暗い船橋の空
まだ青黒い朝の空。旅は船橋の住宅街から始まった。
出発直後の車内から見た曇り空
路面には雨の跡。だからこそ、この日は車で正解だった。

東京料金所付近では、尿意が限界まで来た。予定どおりに進む以前の問題である。無理をせず緊急停止し、事なきを得た。

海老名では短く眠った。長距離では、時間を守ることより、走れる状態を保つことの方が大切だ。少し休み、頭を戻してから西へ進んだ。

第一関門の「ちゃんと起きる」は突破した。次は、無事に海まで走り切るだけだ。

浜松で、ラーメンと餃子を喰う

静岡を抜け、NEOPASA浜松へ入った。建物の内外には楽器の街らしい意匠があり、「MUSIC SPOT HAMAMATSU」ではドラムやピアノが置かれていた。単なる休憩所では終わらない。

NEOPASA浜松の外観
山を背負ったNEOPASA浜松。ここで昼を喰う。
MUSIC SPOT HAMAMATSUのドラムとピアノ
浜松らしく、サービスエリアの中にも楽器がある。

昼飯は浜北軒。醤油ラーメンと浜松餃子のセットを選んだ。ネギの浮いた熱いスープ、焼き目の付いた餃子、横にはモヤシ。長く走った後に欲しいものが、全部そろっていた。

浜北軒の醤油ラーメンと浜松餃子

浜北軒の醤油ラーメンと浜松餃子。西へ走る燃料としては十分だった。

走る前に喰う。喰ったら、また走る。長距離移動は、それでいい。

渥美半島。サーファーの海とメロンソフト

浜松を出たあとは国道42号で渥美半島へ入った。海へ近づくにつれ、街の密度が薄くなっていく。建物の間から空が広がり、やがて潮の気配が混ざり始めた。

ロングビーチ東駐車場へ寄ると、そこはサーファーの車で埋め尽くされていた。板を抱える者、着替える者、海から戻ってくる者。こちらは空きを探すより、景色だけ見て先へ進むことにした。

道の駅あかばねロコステーションの外観
海沿いの道の駅、あかばねロコステーション。
あかばねロコステーションから見た太平洋
駐車場の向こうは太平洋。半島を走っている実感が出てきた。

あかばねロコステーションでは、淡い緑色のメロンソフトを喰った。曇り空の下でも、冷たさと甘さは容赦なくうまい。暑い日に喰うソフトクリームは、観光ではなく補給である。

あかばねロコステーションのメロンソフト

海を背にメロンソフト。半島へ来たなら、これは喰う。

恋路ヶ浜。ヤシの実ひとつ、海ひとつ

さらに半島の先へ進み、恋路ヶ浜へ着いた。太平洋に面した海岸は曇り空の下で少し鈍い色をしていた。それでも、海は広い。波の音だけは、天気に関係なく押し寄せてくる。

恋路ヶ浜の海岸と岬

恋路ヶ浜。派手な青空はなかったが、岬まで来た重みはあった。

「日本の100選」の記念モニュメントを読み、鐘を見て歩く。歩道には、ヤシの実が一つ転がっていた。出来すぎた光景だが、本当にそこにあった。

恋路ヶ浜の鐘
海を背に立つ鐘。白い枠の向こうに太平洋が見える。
恋路ヶ浜の歩道に置かれたヤシの実
歩道に転がっていたヤシの実。説明はいらない一枚だった。
半島の先まで走ると、道は海で終わる。だから今度は、船で続きを走る。

車ごと伊勢湾を渡る

伊良湖クリスタルポルトへ到着し、フェリーを待った。予約はしていない。それでも港には余裕を持って着き、カードで支払いを済ませた。

道の駅伊良湖クリスタルポルト
伊良湖クリスタルポルト。ここから道が海へ延びる。
伊勢湾フェリーの車両乗船口
車両用の乗船口。車の旅が、そのまま船旅へ切り替わる。

伊良湖港へ入ってくる伊勢湾フェリー。これに車ごと乗り込む。

船内へ入ると、冷房はキンキンに効いていた。しかも人は少ない。朝から長距離を走り、暑い渥美半島を抜けてきた体に、この涼しさは効いた。

海を眺めている間、運転する必要はない。車で走ってきた距離が、ここだけ海上の休憩時間へ変わる。フェリーを旅程へ入れた意味は、乗った瞬間に分かった。

エアコンはキンキン、人はガラガラ。海を渡る移動が、そのまま休憩になった。

伊勢の夜。部屋へ戦利品を並べる

鳥羽へ着いたあとは、伊勢の宿へ向かった。その前に、地元スーパー「ぎゅーとら」へ寄る。夕食と翌朝の食料を確保するためだ。

三重県のスーパーぎゅーとら
旅先の地元スーパーは、その土地の生活が見える。
宿から見た伊勢の夕景
宿から見下ろした伊勢の街。初日の移動がようやく終わった。

部屋の机へ並べたのは、ぎゅーとら特製焼肉重、ミンチ串、うずら卵串フライ。観光地の店へ出直す必要はない。長く走った夜は、地元スーパーの総菜を好きなだけ広げる方が強い。

ぎゅーとらの焼肉重、ミンチ串、うずら卵串フライ

焼肉重、ミンチ串、うずら卵串フライ。初日の部屋飯として十分すぎる。

最後にキリン一番搾りを開けた。缶の音が、朝から続いた移動の終了を告げる。海老名で寝て、浜松で喰い、渥美半島を走り切り、車ごと海を渡った。その全てが、この一口へつながった。

DAY 01 / WIN CONFIRMED

ぎゅーとらの総菜を机いっぱいに並べ、一番搾りを開ける。缶が鳴ったこの瞬間、初日の勝ちは完全に確定した。


寝坊しても、全部つながった一日

DAY02

二日目は寝坊から始まった。早朝参拝という予定は崩れたが、旅行そのものが崩れたわけではない。朝食を済ませ、まず外宮へ向かった。

境内をじっくり歩き、「神様の朝飯」の場面も見ることができた。時間は押している。それでも、来た場所を雑に消化する必要はない。

内宮へ向かう途中、セブンイレブンでガリガリ君と凍った麦茶を補給した。暑さはすでに強かった。内宮を参拝したあとは、時間と体力を見て、おかげ横丁を短く切り上げた。

寝坊したら、予定を削ればいい。削っても、見たいものまで薄くする必要はない。

赤福氷。そして、いったん止まる

暑い中を歩いたあと、赤福氷を喰った。山のように盛られた抹茶の氷を崩していくと、中から餡と餅が現れる。冷たさだけではない。伊勢まで来てこれを喰っている、という事実まで含めてうまい。

大きく盛られた赤福氷
まずは巨大な抹茶氷。見た目からして容赦がない。
餡と餅が見える赤福氷
喰い進めると、餡と餅が出てくる。これで赤福氷は完成する。

だが、その後に頭痛と気分不良が出た。ここで無理に次へ進めば、予定ではなく旅そのものを壊す。車へ戻り、冷房を入れ、梅ソルティ、塩分タブレット、凍った麦茶で体を冷やした。

歩けるか。水を飲めるか。気分は戻ったか。一つずつ確かめ、完全に回復してから動いた。

体調不良は根性で抜けない。止まり、冷やし、水分と塩分を入れ、回復を確認してから進む。

回復した。ならばラッコを見に行く

回復後は鳥羽水族館へ向かった。まずデンキウナギの前で休み、腹が減ったのでメイちゃんカレーを喰う。体が戻れば、食欲も戻る。

ジュゴンを見て、ラッコを見る。目的の一つだったラッコまでたどり着けた。体調を崩した直後だからこそ、無理をしなかった判断の重さが分かる。

水族館を出たあとは、コンビニでコーラとアイスを補給した。そこから伊勢志摩スカイラインへ入り、朝熊山頂を目指した。

伊勢志摩スカイラインから見た海と島々

伊勢志摩スカイラインから見下ろす海。急がず、山頂で景色を眺めた。

一度止まったから、ここまで来られた。休憩は旅の中断ではなく、旅を続けるための行程だ。

回る肉を取り、松阪牛を焼く

二日目の最後は、一升びん宮町店へ向かった。選んだのは、肉がレーンを回る方の店。寿司ではない。松阪牛が回ってくる。

夜の一升びん宮町店

一升びん宮町店。夜の黄色い建物へ、肉を喰いに入る。

皿に乗った肉がレーンを回る。欲しい皿を取り、目の前の炭火で焼く。

皿を取り、網へ落とす。炭の赤い光の上で、松阪牛の脂がほどけていく。焼ける音と匂いが立ち上がり、口へ運べば文句なしにうまい。

炭火で焼く松阪牛

炭火、松阪牛、回転レーン。二日目の終着点として不足はない。

DAY 02 / WIN CONFIRMED

回転レーンから松阪牛を取り、炭火へ落とす。脂が網の上で弾けた。この瞬間、二日目の勝ちは確定した。


霞んだ英虞湾から、掛川の生活へ

DAY03

三日目の出発は予定より約30分遅れた。だが、鳥羽港へ着く余裕まで削るつもりはない。道の駅伊勢志摩へ寄り、まず横山展望台へ向かった。

展望台から見下ろす英虞湾は、雲と霞に包まれていた。複雑に入り組んだ海岸線は見えるが、遠景は弱い。晴れるのを待つより、だいたい見たところで切り上げる。

横山展望台から見た曇り空の英虞湾

雲と霞の英虞湾。見えないものを待たず、見えた景色を持ち帰る。

景色が薄くても、ソフトクリームの味は薄くならない。海を背に一本喰い、次の道へ戻った。

横山展望台で食べたソフトクリーム

英虞湾を背にソフトクリーム。霞んだ日の追加点である。

景色が霞んだら、滞在を短くする。天気へ意地を張っても、空は晴れない。

パールロードを走り、鳥羽港へ

横山展望台を出たあとは、パールロードを走って鳥羽展望台へ向かった。海沿いの道は、移動そのものが目的になる。景色を拾いながら北へ戻り、港へ入った。

鳥羽港では車列の一番前を確保できた。船へ乗り遅れる不安はない。待ち時間を使い、港を見下ろす食堂で昼を喰った。

食堂の窓から見た鳥羽港
食堂の窓から鳥羽港を見る。次に乗る船は、すぐ下にいる。
鳥羽港で食べた海老フライを中心とする定食
大きな海老フライを中心にした定食。待ち時間は昼飯へ変わった。

揚げたての衣へタルタルを付け、白飯と一緒に喰う。港を眺めながらの昼飯は、ただ待つだけだった時間を完全に別物へ変えた。

国道42号と259号は、海の上でつながる

乗船時間が近づき、車へ戻った。目の前の乗船口が開き、そのまま船内へ入る。往路とは逆に、今度は鳥羽から伊良湖へ渡る。

鳥羽港の伊勢湾フェリー乗船口
鳥羽港の乗船口。車列の先頭から船を待つ。
国道42号と259号の鳥羽伊良湖航路標識
国道42号と259号。道路は途切れず、海上航路として続いていた。

甲板の後ろで航跡が伸びる。伊勢と志摩で過ごした時間が、少しずつ遠ざかっていく。だが旅は終わらない。伊良湖から、今度は掛川まで走る。

道は海で途切れていなかった。国道は船に乗り、対岸まで続いていた。

掛川のホテルを、生活拠点にする

伊良湖へ着いたあとは、途中のセブンイレブンでトイレ休憩を入れ、掛川へ向かった。スーパー三善で夕食を買い、くれたけイン掛川へ入る。

ホテルではハッピーアワーを使い、空いていた洗濯機と乾燥機を回した。部屋の冷え方が緩かったため、フロントで扇風機も借りた。風は体を冷やすだけでなく、洗った服を乾かす仕事もした。

机へ並べたのは、焼飯唐揚げ弁当、肉団子、お米のシュウマイ。観光地を巡る時間が終わり、その土地で生活するような夜が始まった。

掛川のホテルで並べた弁当と総菜
包装を開ける前の戦利品。机の上が、今夜の食堂になる。
焼飯唐揚げ弁当、肉団子、お米のシュウマイ
肉団子、お米のシュウマイ、焼飯唐揚げ弁当。遠慮なく喰う。
DAY 03 / WIN CONFIRMED

洗濯を回し、扇風機を借り、焼飯唐揚げ弁当と総菜を机へ広げた。掛川の夜を完全に生活へ変えたところで、三日目の勝ちは確定した。


ヤマハが楽しすぎて、帰路も長くなった

DAY04

最終日の朝は、ホテルの朝食を喰いすぎた。すぐには動けず、少し休んでから9時15分に掛川を出た。向かったのは磐田のヤマハ・コミュニケーションプラザである。

ヤマハ・コミュニケーションプラザの外観

ヤマハ・コミュニケーションプラザ。少し見るつもりで入った。

中へ入ると、歴代車両と技術展示が一面に並んでいた。青いYZF-R7、巨大な赤いStar Venture、レーサー、ネイキッド、エンジン。見るものが終わらない。

ヤマハ・コミュニケーションプラザの二輪車展示
一階の二輪車展示。ここだけで、予定時間が崩れ始める。
青いヤマハYZF-R7
青いYZF-R7。ヤマハの色は、やはり強い。

予定どおりに切り上げる理由がなくなった。面白い場所では延長する。その代わり、この後の予定を削ればいい。

ヤバスンギ。ヤマハが楽しすぎて、まだ二階が始まったばかりだった。

Y-AMTを動かし、機械の中を見る

Y-AMTの展示では、ハンドルの操作系と変速機構がつながり、操作に合わせて表示と機械が動く。説明板を読むだけではなく、自分の手で仕組みを確かめられた。

Y-AMTの変速機構と操作展示

Y-AMTの実物機構と操作部。中身を見ながら動かせる。

Y-AMTの体験展示。操作に応じてメーター表示と機構が変化する。

その先には、赤いStar Ventureが鎮座していた。大きな車体、厚いシート、巨大なカウル。二輪車というより、長距離を飲み込むための機械である。

赤いヤマハStar Venture

赤いStar Venture。展示場の中でも、明らかに別格の存在感だった。

うなぎを喰い、温泉を捨てる

ヤマハを出ると、周囲の人が向かっていた中川屋へ入った。朝食を喰いすぎたはずなのに、うなぎを前にすれば話は別である。

焼けた表面の香ばしさ、身の柔らかさ、たれが染みた飯。予定を延長した後の昼飯として、文句なしにうまかった。

食後は、温泉へ寄る案と、そのまま帰る案を比べた。ここまでの満足度はすでに高い。無理にもう一つ追加して帰宅を遅らせるより、余韻を持ったまま帰る方がいい。

DAY 04 / WIN CONFIRMED

ヤマハを見尽くし、中川屋でうなぎを喰った。もう足す必要はない。温泉を捨てて直帰すると決めた瞬間、四日目の勝ちは確定した。

眠くなったら寝る。最後は無事に帰る

帰路では藤枝で休憩し、「ぶしのたね」を土産に買った。さらに東へ進むと、清水で強い眠気が出た。次のサービスエリアまで我慢せず、その場で短く眠った。

少し寝ると、頭は戻った。その後も足柄、海老名、京葉市川で休憩し、燃料残量も確認しながら船橋へ向かった。

到着時刻を縮めても、事故を起こせば何も残らない。最終日の目的は、観光地をもう一つ増やすことではなく、無事に家へ着くことだった。

ちょっと寝て、元気になった。旅の最後に必要なのは、根性ではなく無事な帰宅だ。

そして、家へ着いた。

「家に着いた。いやー、メッチャ面白かったわ。」

この旅で見つかった、自分に合う旅の型

三泊四日あれば、長い往復にも余白ができる。一日の主目的を一つに絞れば、予定がずれても立て直せる。地元スーパーへ入れば、名所だけでは見えない土地の日常まで拾える。

酷暑の日は、最初から全部回るつもりで組まない。体調が崩れたら止まる。眠くなったら、その場で寝る。面白い場所は延長し、その分だけ次を削る。

予定を守り切ることが、旅の成功ではなかった。寝坊しても、景色が霞んでも、温泉を中止してもいい。自分が面白いと思ったものへ時間を使い、喰うべきものを喰い、無事に帰ればいい。

大きな目的を一つ置き、残りは体調、天気、面白さで組み替える。勝ちは、予定表の中ではなく、その日のどこかで自分で確定させる。

旅の実戦ルール

  1. 長距離旅行は3泊4日を基本にする。
  2. 一日の主目的は一つに絞る。
  3. 地元スーパーを旅程へ組み込む。
  4. 酷暑日は、予定を削る前提で動く。
  5. 眠気を感じたら、到着時刻より休憩を優先する。
  6. 十分に満足したら、追加の立ち寄りを捨てて直帰する。