車山肩から見渡す霧ヶ峰の高原
2026.09.25–26 / SHINSHU × YAMANASHI

勝ちは、全部回ることじゃない。

隼、GB350、ホーネットの3台で走る一泊二日の信州・山梨ツーリング。
晴れのビーナスラインを駆け、雨の中央道を走り、喰って、浸かって、最後はソフトで勝ちを確定させる。

今回の旅

2026年9月25日から26日まで、隼、GB350、ホーネットの3台で信州・山梨へ一泊ツーリングに出た。

事前の計画では、白樺湖、車山、霧ヶ峰、八島湿原、美ヶ原まで回るつもりだった。だが、旅は予定表を消化する競技ではない。走って、喰って、景色を見て、その時点で十分なら先を削る。今回の二日間は、その判断が旅の質を守った。

2日間9月25日〜26日
3人・3台隼 / GB350 / ホーネット
1,803m車山肩の標高
雨天300km級2日目の帰路
DAY 1 石川PA → 双葉SA → 諏訪IC → 白樺湖 → 車山肩 → 霧ヶ峰 → 岡谷IC → 安曇野 → 有明山神社 → カイザーベルク穂高
DAY 2 穂高 → 安曇野IC → 諏訪湖SA → 八ヶ岳PA → 勝沼IC → 花藤食堂 → はやぶさ温泉 → 談合坂SA → 首都高 → 各自帰宅
07:30石川PAを出発。朝そばで旅を始める。
08:45双葉SA。膀胱の限界から展望台へ。
10:50白樺湖。湖畔散策と熱々のおやき。
12:00車山肩。標高1,803mの高原へ。
12:10霧ヶ峰。そば、サイバー相談、ダブルソフト。
夕方有明山神社を参拝後、カイザーベルク穂高へ。
翌07:00朝食。外は本降り。雨の300km級帰路が始まる。
DAY 1

晴れた高原へ

初日は、中央道からビーナスラインへ。朝そば、甲府盆地、白樺湖、標高1,800m超の草原。目的地を増やすより、一つひとつを味わう日になった。

朝7時半、石川PA。そばで旅を始める

中央道下り石川PA
集合場所は中央道下りの石川PA。
石川PAで食べた朝のそば
朝の空腹に、温かいそば。
石川PAに並ぶツーリングの3台
隼、GB350、ホーネット。ここから二日間が始まる。

集合は石川PA。まずは腹を入れることにした。選んだのは、パーキングエリアのそばだった。

朝の高速道路には、独特の空気がある。まだ一日が始まりきっていない時間にバイクを止め、湯気の立つそばをすする。豪華な朝食ではない。だが、これでいい。

朝の空腹に、パーキングでそばを喰う。
それだけで、完成された朝になる。

腹を満たし、7時30分に出発した。隼、GB350、ホーネット。それぞれ性格の違う3台が、中央道を西へ向かう。

8時45分、双葉SA。膀胱の限界から絶景へ

双葉SAの展望台
駐車場のそばで見つけた展望台。
双葉SAの展望台から眺める甲府盆地
山に囲まれた甲府盆地。その中に町が密集していた。

石川PAから約100km。双葉SAへ着いた時点で、まず限界を迎えたのはバイクではなく膀胱だった。

バイクを止め、景色を見る余裕もなくトイレへダッシュ。用を済ませて人間に戻り、駐車場へ戻ったところで展望台を見つけた。

上ってみると、眼下には甲府盆地が広がっていた。山梨といえば、山と畑が中心だと勝手に思っていた。だが、盆地の平地には住宅も道路も建物もびっしりと広がり、一つの都市圏が山に囲まれるように収まっている。

山梨、まあまあやるじゃねえか。

膀胱に負けて立ち寄ったSAで、思いがけず土地の姿を知る。こういう予定外があるから、途中で止まるのも悪くない。

諏訪IC。なぜここだけガソリンスタンドだらけなのか

諏訪IC近くで給油する3台

諏訪ICを降り、まずは給油。ここから山へ入る。

諏訪ICで中央道を降り、まずは宇佐美で給油した。ところが周囲を見ると、同じ一角に別のガソリンスタンドがあり、道路の反対側にもまたガソリンスタンドが見える。

高速から降りる車、観光地へ向かう車、これから山へ上がる車。需要が集中する場所なのだろう。それにしても密度が高い。

諏訪、ガソリンには困らなそうである。

燃料を満タンにし、ここからビーナスラインへ入る。市街地を離れるにつれ、道路は山へ向かって上り始めた。

10時50分、白樺湖。美しいのに、静かすぎる

白樺湖の湖畔
標高の高い湖。水面と山の景色がきれいだった。
白樺湖観光センター
営業していた白樺湖観光センターへ。

ビーナスラインを登り、10時50分に白樺湖へ到着した。湖の周囲を少し歩く。水面の向こうに山が立ち、空気も涼しい。単純に、美しい。

ところが観光客は驚くほど少なかった。周囲には営業していないように見える旅館や飲食店も目立つ。湖はこれだけきれいなのに、町は妙に静かだった。

腹も少し減ってきたので、営業していた白樺湖観光センターへ。名物のおやきを頼む。2人は野沢菜。ところが二つ注文したところで売り切れ。一人は、仕方なくかぼちゃを選ぶことになった。

観光客は少ない。まだ午前中。それなのに野沢菜は二個で終了。

こいつら、物を売るつもりがあるのか。

そう思いながら食ってみると、これがうまい。野沢菜も、かぼちゃも熱々。少し冷たい高原の空気の中で、白樺湖を眺めながら食う。

売る気は怪しい。だが、白樺湖を眺めながら食う熱々のおやきは最高だった。

高い木が消える。ビーナスラインの本領

ビーナスラインの高原とバイク

標高が上がるにつれ、高い木がなくなり、低い草原と空だけになる。

白樺湖を出て、さらにビーナスラインを上る。標高が上がるにつれ、高い木が少しずつ姿を消した。

やがて道路の両側に広がるのは、背の低い草に覆われた高原だけになる。視界を遮るものがない。空が広い。遠くの山まで見える。その真ん中をバイクで走っていく。

途中、展望できる場所を見つけては止まり、景色を眺める。早く目的地へ行くための道路ではない。この道を走ること自体が目的になる。

低い草原、広い空、バイク。
この爽快さは、何物にも代えられない。

12時、車山肩。標高1,803mの世界

車山肩に止めた3台のバイク
標高1,800mを超える場所まで、バイクで普通に上がってきた。
車山肩から望む霧ヶ峰高原
見渡す限り高原。写真では広さが伝わり切らない。

正午、車山肩へ到着した。ビーナスラインの標高断面図によれば、ここは標高1,803m。バイクで走ってきて、いつの間にか雲に近い高さまで上がっていた。

目の前に広がるのは、霧ヶ峰の草原と山並み。背の高い木が少ないため、視界が横へ横へと広がっていく。写真に収めても、この広さは半分も伝わらない。

近くには「ころぼっくるひゅって」というカフェがあり、長い列ができていた。諏訪観光協会の案内によれば、看板のブレンドコーヒーは霧ヶ峰の地下水を使い、一杯ずつサイフォンで淹れるという。

もちろんコーヒー自体もうまいのだろう。だが、ここでは味だけではない。標高1,803m。目の前にこの草原を眺めながら飲む。それだけで一杯の価値が変わる。

コーヒーを飲まなくても分かる。
この景色には、人を立ち止まらせる力がある。

12時10分、霧ヶ峰。そばと仕事とソフトクリーム

霧ヶ峰で食べたきのこそば
二人はきのこそば、一人は山菜そば。どちらも絶品だった。
霧ヶ峰でダブルソフトを持つ旅の仲間
ミルクとマスカットのダブル。旅にソフトは欠かせない。

車山肩から少し下り、12時10分に霧ヶ峰へ。ここで昼飯にした。

二人はきのこそば、一人は山菜そば。高原を走って少し冷えた体に、温かいつゆが染みる。きのこの香りも、山菜の素朴な味も、この場所で食うとうまい。

朝もそばを食った気がするが、そんなことはどうでもいい。うまいものは何度食ってもうまい。

高原の昼飯に、突然サイバー相談

平和にそばを食っている途中、知人から電話が入った。経営している会社の偽サイトが作られ、困っているという相談だった。

こちらは霧ヶ峰。目の前にはそば。相手は偽サイト被害の真っただ中。

旅の途中ではあるが、ここはprofessionalとして切り替える。状況を聞き、必要な対応について適切に助言した。相談を終えたら、再び旅人へ戻る。

最後は恒例のソフト

そばを食い終えたら、ミルクとマスカットのダブルソフト。高原へ来てソフトを食わずに帰るという選択肢はない。

旅にソフトクリームは欠かせない。
今回は、そばの途中にサイバー相談まで付いてきた。

全部回らない。それが初日の正解だった

事前計画では、このあと八島湿原と美ヶ原へ行く予定だった。

だが、この時点ですでに相当な距離を走っている。白樺湖を歩き、車山肩で高原を眺め、霧ヶ峰でそばを食い、ソフトまで食った。

ここから予定を消化することだけを目標にすると、旅が作業になる。立ち寄った場所の数は増えても、疲れて景色を雑に見て、宿へ着く頃にはへとへとでは意味がない。

初日の勝ちを確定させるために、あえて行かない。

八島湿原と美ヶ原は切った。ビーナスラインを進み、途中から山を下り、岡谷ICから長野自動車道へ。安曇野ICで高速を降り、宿へ向かう。

旅は、予定表を全部埋めれば勝ちではない。
満足したところで欲張らずに切り上げる。それも旅の技術だ。

山奥で出会った、有明山神社の威厳

有明山神社の参道
宿の手前で立ち寄った有明山神社。木々の奥に社殿が構える。
有明山神社の古銭型の石
境内に置かれた古銭形の石。神社の空気に独特の重みがあった。

安曇野ICを降り、途中のスーパーで夜のつまみと飲料を買う。その後は下道をかなり走った。建物が減り、山が近づき、「本当にこんな奥に宿があるのか」と思う頃、宿の手前で有明山神社に立ち寄った。

安曇野市観光協会によれば、有明山神社は信濃富士とも呼ばれる有明山と関わりの深い神社で、境内の裕明門や手水舎には龍、鳳凰、十二支などの彫刻が施されている。長野県公式観光情報でも、有明山を信仰崇拝する山岳信仰の神社として紹介されている。

実際に境内へ入ると、その説明以上に空気が重い。古銭を思わせる大きな石、土俵、石灯籠。観光向けに整えられた場所というより、今も神事が行われる神社の威厳を感じた。

参拝を済ませ、宮司に御朱印を書いてもらう。そこで宮司から、先日、出川哲朗がバイク旅で訪れたという話を聞いた。しかも、一緒に記念撮影した写真まで嬉しそうに見せてくれた。

厳かな境内で御朱印を書く宮司も、有名人が来れば普通にうれしいらしい。

宮司といえど、ただのじいさんだった。
※出川哲朗氏来訪の話は、現地で宮司から直接聞いたエピソードとして記載している。

カイザーベルク穂高。ライダーのための宿

カイザーベルク穂高の外観

山奥まで走った先に現れたカイザーベルク穂高。

ようやくカイザーベルク穂高に到着した。入口へ入って最初に目に入ったのは、バイク専用の屋内ガレージだった。

公式案内を見ると、インドアガレージにはメンテナンス工具、充電器、洗車機、乾燥室なども備わる。雨風を避けて愛車を置けるだけではない。さすが、レッドバロンが運営する宿。ライダーが欲しいものを分かっている。

まずは温泉

チェックインしたら、荷物を置いて温泉へ。ここまで朝から走り続け、体は自分が思っている以上に固まっている。

カイザーベルク穂高の湯は、中房温泉から引いた天然温泉。公式表記では「単純アルカリ泉」。湯に体を沈めると、一日まとっていた力が少しずつ抜けていく。

バイクで固まった体は、温泉で戻す。

ナイアガラとハンバーグ

カイザーベルク穂高の夕食のハンバーグ

夕食のメインはハンバーグ。量は控えめだが、おぢにはちょうどいい。

風呂から上がり、夕食へ。食事の前にはウェルカムドリンクとして「ナイアガラ」というワインをいただいた。甘くて飲みやすい。長く走ったあとの体には、この分かりやすい甘さがいい。

メインはハンバーグ。食ってみると、なかなかうまいじゃねえか。量は少し控えめだが、朝からそば、おやき、またそば、ソフトと喰っている。

おぢの夕食は、このくらいがいい。

部屋でバイクを語る。初日の勝ちが確定する

夕食を終え、部屋へ戻る。途中のスーパーで買っておいたつまみと飲み物を広げ、3人でバイクの話をする。

今日のビーナスラインはどうだった。あの景色はやばかった。次はどこへ行く。そんな話をだらだら続ける。途中でもう一度温泉へ入る。

観光地を一つ増やすより、この時間のほうが大事だった。

ここで初日の勝ちが確定した。

本当ならもう少し飲んでいたかった。だが、体は正直だった。朝から走り続けた疲れが一気に出てくる。翌日も走る。無理をする理由はない。

走る。喰う。浸かる。そして最後は仲間とバイクの話をする。
八島と美ヶ原を切った判断は、ここで正解になった。

この日は早めに布団へ入った。

DAY 2

雨まで含めて、旅にする

二日目の朝、外は本降り。これから東京方面まで約300km。カッパを着て、雨風の中央道へ向かった。

朝風呂、軽い朝飯、そして本降りの雨

二日目の朝。起きたら、まず温泉へ。前日の疲れをもう一度湯でほどき、7時から朝食に向かった。

パン、オムレツなどの軽食。若い頃なら物足りなかったかもしれないが、前日からかなり喰っている。

おぢの朝飯は、このくらいがちょうどいい。

部屋へ戻り、外を見る。雨は思っていた以上に強かった。

だが、宿の前に広がる日本庭園風の庭は、雨に濡れることで木々の緑が濃くなり、地面もしっとり暗くなる。山の宿らしい静けさが増していた。

雨に濡れた庭を部屋から眺める。
それだけでも、安曇野まで来た甲斐があった。

雨の300km。これこそ、漢のバイク道なり

問題はここからだった。外は雨。これから約300kmの道のりを帰る。

晴れていれば楽なのは分かっている。だが、雨の日まで含めてバイク旅だ。天気に文句を言っても何も変わらない。

カッパを着込み、荷物を確認する。

これこそ、漢のバイク道なり。

天気に感謝して、ベルクを出発した。

安曇野ICまでは下道。9月とは思えないほど涼しく、カッパ越しに当たる雨が意外なほど心地いい。田んぼと山の間を走る道は、派手な絶景ではないが、土地の生活の中を走っている感覚がある。

やはり、田舎道はいい。

諏訪湖SA。雨の湖も悪くない

諏訪湖SAの展望デッキから見る諏訪湖
雨雲の下に広がる諏訪湖。山と町を一望できる。
雨の諏訪湖SAのバイク駐車場
雨風が強い。短い区間ごとに休みながら進む。

安曇野ICから高速へ入り、まずは諏訪湖SAを目指した。距離は長くないが、この日は雨だけでなく風も強い。

バイクは雨も風もそのまま受ける。無理に距離を稼がず、休憩を細かく刻んで帰る作戦にした。

諏訪湖SAには展望デッキがある。そこから見る湖は、晴天の青い湖ではない。空も水面も重たい色をしている。それでも、大きな湖と周囲を囲む山を眺めていると、自然の雄大さは十分に伝わってくる。

雨の諏訪湖も悪くない。
天気が違えば、同じ場所でも別の景色になる。

花藤食堂。普通盛りが普通ではない

花藤食堂のラーメンセットとしょうが焼き丼

昔ながらのラーメンと丼のセット。これで1,100円。

諏訪湖SAを出て、途中で八ヶ岳PAに寄りながら南下。勝沼ICで中央道を降り、目的地の花藤食堂へ向かった。

着いた頃には大雨。それでもバイクを止め、ずぶ濡れのまま店内へ入る。狭い店だが、昔ながらの食堂らしい風情がある。壁には日下部警察署などの感謝状が何枚も飾られており、地域の交通安全活動にも関わっているように見えた。

注文したのはラーメンセット。昔ながらの醤油ラーメンに、それぞれ好きな丼を付ける。

そして料理が運ばれてきた。

……おかしい。こちらは普通盛りを頼んだはずである。

丼には大盛り級のご飯。その上に具が容赦なく積まれている。口コミでも「普通盛りでも爆盛り」「デカ盛りの店」と評される花藤。目の前の丼を見れば、その評判には納得しかない。

1,100円。安い。

外では雨が叩きつけている。雨具を着て高速を走り、冷えた体でたどり着いた昔ながらの食堂。そこで熱いラーメンをすすり、山のような丼を喰う。

こういう飯は、しゃれた料理とは別の方向で強い。

はやぶさ温泉。ずぶ濡れの体を源泉で戻す

はやぶさ温泉の外観

昔ながらの温泉旅館のような佇まい。雨のツーリングにはありがたすぎる。

花藤で腹を満たしたあとは、近くのはやぶさ温泉へ向かった。建物へ入ると、昔ながらの温泉旅館のような雰囲気がある。

カッパもヘルメットもすでにかなり濡れていた。すると女将さんが、その濡れた装備を預かってくれた。こういう自然な気遣いは、田舎の小さな温泉ならではだと思う。

はやぶさ温泉は、公式案内では笛吹川断裂温泉帯のアルカリ性単純泉。源泉天然100%掛け流しで、加水・加熱・塩素投入を行わず、約42℃の源泉をそのまま利用している。カランやシャワーも源泉だという。

湯に入ると、肌をなでたときにぬるぬるする感覚がはっきり分かる。雨の中を走り続けて冷えた体には、この濃い湯が強烈に気持ちいい。

風呂から上がっても、すぐには出発しなかった。30分ほど休む。体も気持ちも、ここで一度リセットした。

外を見ると、少しだけ雨脚が弱くなっている。

ここだ。
カッパを着直し、ヘルメットをかぶる。覚悟を決めて、もう一度雨の中へ戻った。

談合坂。旅の終わりは、いつも少し寂しい

勝沼ICから中央道へ戻る。雨はまだ強く、風もある。長時間の雨中走行で、体は芯まで冷えていた。疲れもたまっている。

最後の大きな休憩は談合坂SA。

談合坂へ寄ると、毎回少し寂しくなる。ここまで来ると、旅の終わりが見えてしまうからだ。

ただ、この日は感傷に浸る前に体をどうにかする必要があった。まず温かいコーヒーを飲む。一口入るごとに、胃の中から熱が戻ってくる。

コーヒー一杯で、もう一度走れるくらいには回復した。

だが、まだ勝ちは確定していない。

なぜか。

ソフトを喰っていないからだ。
談合坂SAでソフトクリームを持つ旅の仲間

温かいコーヒーで体を戻した直後に、ソフトで再び冷やす。

談合坂ソフトを購入し、ソフトを喰らう。せっかく温まった体を、今度は自ら冷やす。

これが漢の健康法である。医学的根拠は、もちろんない。

これからもう一度、雨と風の中へ戻る。ならば先に体を冷やして外気に慣らしておく。サウナで言うところの温冷交代浴のようなものだ。

この瞬間、二日間の勝ちが確定した。

気力を絞り、首都高へ

談合坂を出たあとは、もう観光ではない。残っている気力を絞り、雨と風の中をただ前へ進む。

中央道を抜け、首都高へ。見慣れた景色が増えてくるにつれ、二日間の旅が終わりに近づいていることが分かる。

やがて、それぞれの家へ向かう分岐が来た。合図をして、一台ずつ別れていく。

朝からずっと一緒に走っていた3台が、それぞれの日常へ戻っていく。そこで今回の旅は終わった。

まとめ

今回の旅は、計画どおりにすべてを回った旅ではなかった。

八島湿原も、美ヶ原も行かなかった。初日のうちに「ここから先は削る」と決めた。だが、そのおかげで白樺湖を歩き、車山肩の景色を眺め、霧ヶ峰でそばを味わい、宿で温泉に入り、部屋で仲間とバイクの話をする余白が残った。

二日目は雨だった。しかも帰路は約300km。カッパを着て、雨風に打たれ、短い区間ごとに休み、温泉で体を戻し、また雨の中へ出た。

晴れだけなら楽だったかもしれない。だが、雨だったからこそ、諏訪湖の重たい空も、はやぶさ温泉の湯も、談合坂の一杯のコーヒーも強く残った。

最後はソフトを喰い、首都高で3台がそれぞれの方向へ散っていった。

旅は、予定どおりに進んだから残るわけではない。
晴れた高原で風を受けたことも、雨の高速で体を冷やしたことも、うまい飯を食ったことも、温泉で力を抜いたことも、全部ひっくるめて旅になる。

行かなかった場所もある。予定を削った場面もある。
それでも、だからこそ余白ができた。景色を眺め、飯を味わい、仲間とくだらない話をする時間が残った。

旅の終わりは、目的地に着いた瞬間ではない。
また次も走りたいと思った瞬間に、ようやく一つの旅が完成する。

公式情報・メモ

営業時間・料金・施設情報は変更される場合がある。本文中の体験描写は2026年9月25日〜26日の実体験をもとに記載。